事業報告書に掲載予定の御挨拶です
歩いて発見!となみ野サマーチャレンジ2025を終えて 団長 神下正弘
今年は、3泊4日で108㎞を歩くという挑戦をさせていただきましたが、参加者全員が無事歩き切りゴールを出来たのは、子供達のがんばりはもちろんですが、勇気を持って送り出していただいた保護者の皆様、そしてこの事業を支援いただいた皆様や、地域の様々な施設や団体のご協力があってのことと心より感謝申し上げます。
新型コロナウイルスの蔓延防止のために、事業が実施できなかった数年の間に、この事業を取り巻く環境は大きく変わりました。
1つ目としては、この事業は大学生スタッフを中心に事業を準備していますが、実際に大学生は2年目、3年目と経験を重ねることに事業への理解を深めるだけでなく、その実施の基礎となる人間力を高めていくことになります。しかしその力は、ただ事業に参加すれば身につくものでは無く、事前事後に実施している研修会(STEP)に参加をして普段の生活から改善していく態勢を整のえることができなければ実現しません。今年は新規スタッフの募集に失敗し、大学1年生のほとんどが辞退してしまいました。スタッフ数が不足する状況での準備となりましたが、数の不足以上に問題だったのが、スタッフの研修への参加率の悪さで、実施したい研修内容ができない状況が続き十分なレベルアップができずに本番を迎えることとなりました。学生達の意識変化もあるでしょうが、経済的な背景や、それ以外の要因がマクロで考える体制づくりを阻害しているのだと考えます。その学生の人員不足を補ってくれたのは、これまで学生スタッフとして過去の事業に参加してくれた社会人スタッフでした。実施時期に合わせて、県外からも応援に駆け付けてくれた人が居たことで事業の安全性を高めることがでたのはもちろんですが、過去スタッフのスキルの高さと現在の状況のギャップを感じましたし、それぞれが社会へ出てからの成長を実感する機会ともなりました。
2つ目として今年は、参加者の定員を30名に設定をして募集をさせてもらいました。当初は定員を超えても多少の受け入れはするつもりでしたが、結果的に応募者12名(最終9名)という状況となりました。真夏の炎天下に100㎞以上を歩くということは、野蛮で危険の伴う行為です。しかしその苦しい状況を乗り越えるからこそ身につく力や達成感がありそれが子供達の生きる力の情勢へと繋がっていると確信しています。以前、100人を募って開催していた頃に比べると熱中症対策はもちろん、サポート体制もかなり充実していますし、ノウハウも蓄積されている状況なのですが、こういった体験型の事業に参加することを、子供達も保護者もリスクを恐れて避ける傾向が強くなっているのだと感じています。また、事業自体を知らなかったという方も多い状況は、現状のやり方では告知が不十分だということを再認識させられました。
一昨年の事業中止は、運営費不足が最大の要因でしたが、その状況を改善するため、事業自体を大幅にスリム化しました。参加費を抑えると共に、事業協賛金を募っての開催とすることで、以前は60名以上の参加が採算ベースであったものを30名以下でも開催できる様にはなりました。参加者の思い出となる寄せ書きTシャツが無くなり、事業報告会も開催できない状況等は残念に感じていますが、少人数でも事業を継続することで、徐々に参加者数も回復していくことを期待しています。
今年の夏は記録的な猛暑となり、事業開催前にも35℃を超える日が続いていましたが、今年は1日目こそ晴れたものの、2日目から最終日まではポンチョを着て雨の中を歩くことになりました。気温が高くない方が歩きやすくはなるのですが、雨の場合は様々な対応が必要となります。幸いにしてコース変更を伴う程の影響はありませんでしたが、濡れて体温が下がることでの体調悪化への配慮に加えて、休憩地やそれ以外でのトイレ対応が必要となりました。歩いていてトイレに行きたくなった子供がいた場合は、車で近くの公衆便所まで移動して、車に乗った場所まで戻って、サポートスタッフと一緒に隊列を追いかけることになるのですが、遅れた子供は自ら早歩調(速足)で、隊列に追いついていました。保護者の皆さんと4日間も離れる事の無かった子供達も多かったと思いますが、歩いた疲れもある中、そんな寂しさを自ら乗り越えようと頑張ってくれていました。また、保護者の皆様にも事業実施に向けて様々な準備をお願いし、事業期間中は子供達に会いに来てはいけないというルールを守って、子供達との関わり方を考える機会としてもらいました。保護者の皆様からいただいた感想文にはそんな子供達への思いが綴られていましたし、この事業によって僅かでも子供たちの人生のベクトルを高めることができたと感じられる内容でした。そして様々な地域教育事業がありますが、やっぱりサマチャレでしか得られないものがあることを改めて実感しています。
今年は、過去にサマチャレスタッフだった人達のベビーラッシュを迎えています。その子供達が真夏に挑戦できるのは10年後となりますが、その夏にもとなみ野にチャレンジコール!が響いていること願っています。